北海道札幌駅前の老舗おでん屋「かつや」が31日、60年近い歴史に幕を閉じる。札幌のサラリーマンたちに憩いの場を提供し、閉店を惜しむ声が後を絶たないが、店主の川地真知子さん(64)は「お客には申し訳ないけど、私も年だから」と話している。
木製カウンターに据え付けられた鍋に熱々のおでん。子持ちヤリイカやロールキャベツなど、「かつや」の具材には一手間かけたものが多い。メニュー表は置かず、客は約30種類のおでんを見て注文する。常連客から「まっちゃん」と呼ばれる真知子さんが、手ずから注ぐ熱かんも魅力だ。
創業は1954年。母親の勝江さんが砂川市内で開店し、自分の名前を店名に冠した。真知子さんも20歳の頃からカウンターに立ち、勝江さんを支えた。
多くの客との出会いを求め、70年には札幌市内に進出。勝江さんが2000年に亡くなると、真知子さんは姉らと店を切り盛りしてきた。ビルの改装などで5度の移転を繰り返したが「女性や子供でも気軽に入れる店に」という母の教えを守って、繁華街を避けて駅前に店を構え続けた。
店の流儀は「おでんは売ってもこびは売らない」。酔客が酒を頼むと「今日はもう帰りなさい」と突っぱねる真知子さんの気っぷの良さにほれて、常連になる客も多い。東京五輪の競泳代表で、日本水泳連盟理事も務めた木原光知子さんもその一人。市内の水泳講習で真知子さんと知り合ったことが縁となり、生前、札幌に来ると必ず立ち寄っていたという。
砂川時代からの常連で、ホクレンの管理本部長を務めた岡部隆昭さん(76)は社会人2年目の61年、上司に誘われて初めて砂川の店を訪れ、その時の味が忘れられずに札幌移転後も度々、後輩たちと店に顔を出した。「人生の節目にかつやがあった」と岡部さんは振り返る。
閉店まであと5日。来店者からは「ホントにやめるの」と声がかかるが、真知子さんは「惜しまれるうちにやめるのが華」と話す。
かつやの住所は札幌市中央区北4西4読売北海道ビル地下1階。営業は午後5時から11時まで(27日は休み)。問い合わせは同店(電話011・231・1507)へ
ソースは読売新聞
住所 | 北海道札幌市中央区北4西4 読売北海道ビル地下1階 |
アクセス | JR札幌駅 |
営業時間 | 17:00~23:00 |
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