甲府市中央1丁目の婦人服販売店「ドレスギャラリーヨコヤマ」が今年いっぱいで閉店することになった。甲府空襲による店舗の焼失や火災などの苦難を乗り越え、市中心街で77年間、営業してきた老舗が姿を消すことになる。横山金之助社長(84)は「長い間商売をできたのはお客さんのおかげ。今は感謝の気持ちしかない」と話している。 「ドレスギャラリーヨコヤマ」は1934年、横山社長の父親、先代・横山金之助社長が設立。洋服用の服地を売ったり、オーダーメードの洋服を販売したりしていた。洋服の需要はそれほど多くない時代だったが、県内の教員互助会の指定店となったことで、女性教師を中心に売り上げを伸ばしたという。 しかし、45年、甲府空襲によって店舗が焼失。46年には新たな店舗で営業を再開したが、先代が病気で死去。19歳だった現在の横山社長が跡を継いだ。洋服への女性の関心の高まりや好景気を背景に順調な経営を展開した。 54年には満知子さん(78)と結婚。東京のデザイナーに学んだ満知子さんが洋服のデザインを担当する二人三脚がスタートした。61年ごろには「専門店としてやっていこう」と方針を決め、当時あまり普及していなかったレース服地を中心に取り扱い、顧客を増やしたという。 順調な経営の中、70年、隣家の火事の影響で再び店舗が焼失したが、世間で広がり始めていた既製品中心の販売へ転換するチャンスと前向きにとらえた。「服地やオーダーメード服の販売から意識を変えるのは大変だった」(満知子さん)が、徐々に既製品販売の割合を増やすことで、時代のニーズに応えてきた。 しかし、郊外への大型店舗の出店に伴い中心市街地を訪れる客が減少したことやネット販売の普及など、小売業を取り巻く状況は変化。横山社長は「時代の流れに対応するのが大変。夫婦で元気なうちに区切りをつけることにした」と閉店を決意した。 元教師の女性ら常連客からは「今までお世話になった。残念」との声が寄せられているという。横山社長は「かつては専門店が並び、山梨県中からお客さまが集まり、夜中まで働いたことを懐かしく思い出す。小さな商店や商店街が生き残っていくために、できることがあれば今後も協力していきたい」と話している。 「ドレスギャラリーヨコヤマ」は12月31日まで営業。現在は商品を5?7割引きで販売している。午前9時半?午後6時半。無休。
ソースは山梨新聞
住所 | 山梨県甲府市中央1-1-2 |
アクセス | JR各線:甲府駅 |
営業時間 | 午前9時半?午後6時半 |
定休日 | 無休 |
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