市民の“台所”として長年親しまれてきた長崎市恵美須町の大黒市場と恵美須市場は、今月末で約60年の歴史に幕を下ろす。関係者はさまざまな思いを胸に、最後の時を迎える。
両市場は、1954年に当時の国鉄長崎駅周辺を流れる岩原川(岩原都市下水路)を長さ約180メートル、厚さ約16センチのコンクリート床版(しょうばん)でふたをし、その上に形成。戦後、同駅周辺に並んだ闇市の店主らの移転先となった。55年に下流側に大黒市場、56年に上流側に恵美須市場が開設し、鮮魚や野菜、精肉、雑貨など約70店舗が営業をスタート。市恵美須市場協同組合の冨川良子組合長(76)によると、市場はかつて、横向きに歩かなければならないほど人であふれていたという。
市は94年ごろから床版の老朽化などのため、両市場の各店舗に移転要請。移転補助費などを提示しながら交渉を進めてきたが、数店舗とは交渉が決裂したまま。床版の上には両市場と別に十数店舗が集まった一角もあるが、移転の話はまとまっていない。
市河川課は、海水の逆流により塩分が床版のコンクリートを腐食させていることなどから「地震などが起きると壊れてもおかしくない状況」と分析。4月から市場の取り壊し工事を開始予定で、恵美須市場の空になった建物から解体し、床版を撤去し、元の下水路に戻す方針だ。
20日、市場を見ておこうと家族で訪れた同市八景町の会社員、豊島広之さん(44)は「初めて来てみた。こういった雰囲気の市場がなくなるのはもったいない」。大黒市場で鮮魚店を営む管正人さん(80)=同市稲佐町=は「続けてほしいとの声もあるが仕方ない。お客さんへの感謝を込め、残りの営業を頑張りたい」と話した。
ソースは長崎新聞
住所 | 長崎県長崎市恵美須町 |
アクセス | 電車:長崎駅下車 徒歩10分程度 |
営業時間 | |
定休日 | |
HP | |
備考 |
より大きな地図で 建築マップ 長崎 を表示